(遥side)






「先〜輩!」


「……」


「先輩、聞こえてますか〜?」


「……」



「ちょ、無視しないでくださいよ」



「……」



「遥先〜輩」



さっきからいくら無視し続けても一向に止むことのないあたしを呼ぶ声。



いい加減うんざりして歩いていた足を止める。



振り返ると、そこにはニコニコとした笑顔を向けてくる世間では俗にイケメンの部類に入る少しチャラそうな男の子。



あたしは最近この子に悩まされている。