このことっていうのは…





「王子の性格のこと?」




明らかに、今までとは違う口調。



あたし達が知ってる青木くんは、どこまでも完璧なみんなの憧れるおとぎ話でしか見た事がないような


────まさに本物の王子様。





でも、今あたしの目の前にいるのはそんな彼とは全く違う。



「青木くんは、これが素なの?」




疑問に思いそう聞くと、青木くんは一瞬視線を床に落とす。




「…そうだよ。これが素かな。ぶっちゃけ俺、女嫌いだし。完璧な王子様とか実際いるわけないでしょ。まあ、みんなはそんな理想の王子様がいいんだろーけどね」




スラスラとなんの感情もこもっていなさそうな声色でそう告げる。



こんな青木くんは、初めて見た。






「ま、別にいいんだけどさ。“ 王子様”を演じるのも、本当の姿を隠すのも慣れてるから」





ふわりと笑ってみせるけど、その瞳の奥はどこか寂しそうに見える。






それは、あたしの勘違いなのだろうか。