「好きです!付き合ってください!」


静かなあたりによく響く声。


体育館の近くで、ある男の子がそう声を張り上げた。



「えっと…ごめんなさい」


もちろん、それはあたしに向けられたものではない。


告白を断った彼女は、申し訳なさそうに眉を下げた。


あたしはそんな様子をただじっと見ていた。


いや、決してストーカーではない。




両脇には大量のゴミ袋。これを捨てに来ただけであって、覗き見なんて言う趣味はもちあわせていない。




「そうですよね、急にすいません」


「ううん、ごめんね…でも嬉しかった」



ふわりと笑った彼女は、彼に向かってそう告げた。


そんな彼は、彼女の天使のような笑顔に顔を赤らめて照れくさそうにその場をあとにした。



あー、ありゃまた好きになっちゃったよ…



罪な人だなぁ。