ここにはいないけど、今すぐとっ捕まえて返事させてやろうか?



「もともと俊はさ、芽依のことが好きだったじゃん?別にそのこと自体は気にしてなかったって言うか…でも、こないだ弱ってるあいつ見たらさ、なんかほっとけなくて」



ぽつりぽつりと話し出す美玖。



基本、恋愛相談はあたしばっかりが乗ってもらってて美玖のはあんまり聞いたことがなかった。


だから、こんな機会は滅多にない貴重なものなのだ。それがなんだか少し嬉しかったりもする。



「んで、勢いで言っちゃったみたいな?」


「なるほどね…」


「けどあいつ、めっちゃ動揺しててさ…返事は今じゃなくていいとは言ったんだけどもうすぐ一週間経つし」


「一週間!?」



ちょっと、どんだけ待たせてんのよ!バカ!



ていうか、全然気づかなかった…



あまりにも美玖が普通すぎて。




さすがにあたしなら心折れてるかも。


でも、美玖は焦らせたくないから。と気長に待つことを決めたらしい。


さすが、そういうとこは美玖らしいというか…



でも、女心がわかってないね、俊。



本当はそんなの、美玖だって不安に決まってる。




好きになるって言うのは、理屈じゃない。


自分の思い通りには行かないものたからこそ、不安が付きまとう。



それを経験しているあたしは、美玖の気持ちがよくわかる。