俺のものになってよ






校門の前まで来て足を止める。



カバンからスマホを取り出すと、連絡先一覧から彼の名前を見つけタップする。




文章を打ち込み、送信のボタンを押して彼が来るのを待とうとスマホを制服のポケットにしまう。




ふっと風が吹いて、思わず肩をすくめる。



「くしゅ…っ」



肌寒い季節になり、もうすぐ冬か、なんて思いながら冷えた手をぎゅっと握りしめる。




青木くん、いつ終わるかな…そんなことを考えていたあたしは、背後から近づいてくる人物に少しも気づかなかった。





「────ねぇ」



少しだけ聞き覚えのある声がして、後ろを振り返る。



「え」



サラリと黒い髪を風がさらって、その人を見た瞬間目を見張る。





「なんで…」




そこにいたのは、ついこの間、青木君のもとへと会いに来た人。




青木くんが仮面を被り、“王子様”というレッテルを貼り付けるようになった原因である人。




「────…こんにちは」





そして、青木くんの元カノ。




由梨さんだった。