なかなか食いさがろうとしない由梨にだんだんと苛立ちを覚える。
「…いい加減うぜえから、その手離せよ」
今まで一度も発したことのない冷たい声でそう言った。
「…え」
由梨の瞳が光を失う。
吐き気がした。
この涙もあの時の笑顔も、全部偽りのものだったと思うと、気持ち悪くてたまらなかった。
俺の服を掴む力が緩むと、そのまま背を向けて歩き出した。
ヒシヒシと背中に沈みかけた夕日が当たるのを感じる。
まるで、俺たちを嘲笑うかのように明るく照らし続ける。
────もう女なんて信じない
この時から、そう胸に誓った。
