彼女の好きという気持ちが伝わってきて、むしろここまで諦めないなんてすごいと思う。
縋るように見つめる瞳はなんだか狂気すら感じる。
「彼女、は…」
切羽詰まったような声で青木くんがそう言う。
王子には、彼女はいない。
この噂は結構広まってるから、それは多分本当だと思う。
だけど、ここで彼女がいないというのはだいぶリスキーだ。
結構ピンチな状況だし
まずいんじゃない…、これ。
「やっぱりいないんでしょ?じゃあ…」
「────…いるよ」
「…え?」
…へ?
彼の口から出た言葉に、心の声が漏れそうになる。
「青木くん、今、なんて…?」
「だから、俺。彼女いるよ」
う、嘘、え!王子って彼女いたの!?
じゃああの噂は間違ってたってこと?
すると、呆気にとられていた彼女だが
「っ、じゃあ、今ここに連れてきて!!」
そんなことを言い出した。
