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(湊side)



目を閉じて、思い出すのは2年前のあの頃。



『───湊〜!!』



笑顔で手を振るある女の顔を、脳裏に思い浮かべる。




もう二度と見たくない、そう思っていたのに。




そいつの名前は坂本由梨。



俺とあいつの出会いは中学3年生の時。



たまたまクラスが同じになって



もともと明るい性格だったあいつは、よく俺に話しかけてきた。




「ねえねえ、青木くん」



その頃はまだ、俺を青木くんと呼んでいた。



ニコニコと笑顔で近づいてくるそいつを、俺はちらりと横目で見つめる。