「あった!あったあったあった!!」

矢崎さんが興奮しながら俺達を呼んだ。
HPの画面を矢崎さんが読み上げる。

「1925年、ドイツで発覚した"Breath"の"影"の処分を私の祖父は見た。"影"の特性を充分に発生させた上で首を跳ねないと意味と価値がないらしい。
その条件として不可欠なのは、対の存在である"光"だ。"光"の特性で植物を増殖させ、"影"がそれを操る。この状態を確認した上で処分しなかった場合、法によって殺人と見なされるのだ。」

これはつまり……

「日芽さんがいないと、憂莉さんに手出しは出来ないって事か…。」

「それに、懸賞金が出ますからね。
もし、今回の事件の犯人なら全部水の泡ですが」

小声で矢崎さんが「早く捕まれ」とぼやいた。

すると比嘉特捜部長が、大胆な事を言った。

「柊木日芽を解放しよう。」

その言葉に俺は、いち早く反抗した。

「待ってください!それぢゃ彼女達の安全は保証されません!!」

だが、比嘉特捜部長は動じずに続けた。

「美作あきらをおびき寄せるんだ。
それから尾行で倉庫の場所も突き止める。
ワシが全責任を負う。」

その言葉に、俺も難波さんも息が詰まった。

「…日芽さんを、餌になさる気ですか…?」

「そうゆう事だ。尾行する有能な人間についてはあてがある。これから本部に一度向かおう。柊木日芽の結果も聞かないとな。」

比嘉特捜部長は、すぐに本部へと向かった。

俺と難波さんは顔を見合わせて、
彼について行く事にした。