俺がバイクで待ち合わせ場所へ行くと、
アパートの2階の部屋から難波さんが出てきて手招いた。

急いで階段を上がり205号室に入ると、
難波さんが俺を引き止めた。

「もう1人のストーカーって感じの部屋だ。
びびるなよ?」

何事かと思い、部屋に繋がる暖簾をくぐると、
そこには柊木姉妹の盗撮写真が壁一面に貼りまくられていた。

接客中の日芽さんの姿や、コンビニに立ち寄る憂莉さんの写真達。
標的でない俺達が見ても気味が悪い。

「青山、この中に柊木日芽を襲った時のコートはあるか?」

難波さんがクローゼットを開けた。
俺は何着かのコートを掻き分けて探してみると、1着だけベージュのコートを見つけた。

「これですよ。丈の長さもこれくらいでした。」

「美作あきらが柊木姉妹に目をつけていたのは分かった。他にも何か出てきそうだな。」

2人で部屋を探ってみると、
俺はテーブルの上にあった蛇のロゴが入ったマッチケースを手に取った。

「Bar the Snake…」

矢崎さんが見せてくれた掲示板を思い出す。

「難波さん、ここに行きましょう。」

マッチケースを難波さんに渡し、
俺は先程の掲示板の話をしながら、その文のコピーを見せた。

「蛇か、なるほどな。"Breath"の文字を入れ替えれば"The Bar"って訳か。」

「そこに行ったら何か"匂い"が掴めるかも。」

店は駅前の方らしい。
まだ朝の為、開店はしてないだろうが
俺達は急いでBarに向かった。