「遥斗…こっちに来て、ママを抱きしめて?」


乱れた毛布、しわくちゃになったシーツ。
髪を掻きあげた母親の赤いルージュが微笑んで、
まだ10歳の幼い俺を、
派手なネイルに染まった細い手で誘う…。

「…ママ?これ、何てゆう、匂い?」

裸の母親と、隣で眠る、父親ぢゃない男の人。

「これはね…」

僕の手を引っ張って、
柔らかい胸元に抱かれた俺。

母親は、俺に愛情ではなく、

トラウマと"特性"だけを遺して、
この世を去った…。

[Last note 〜特性特捜部〜]