「王子…様…」

「どうしたの?」

「取られそうになった」
「絶対、他の子のところに行かないでよ」

「もちろんだよ」
「僕は花純のもの」
「一生、ね」

「うん…」

そして、夜空に願った。

「一生、二人きりでいられますように」
「夜空が私の願いでいっぱいになりますように」

今考えたら、なんて自分勝手な願いだろう。
そんな私にすぐに別れが来た。

「あれ、王子様は?」
「お母さん、王子様…」

「あぁ、お隣の子にあげちゃったの」

「え?」
「なんで?」

「花純、いい加減にお友達をつくりなさい。」

「嫌だ、私は王子様がいいの」

「花純、お願い」

幼い私でもわかった。
本当にお母さんはそう願っている。

「…わかった」

その日から私の「王子様離れ」が始まった。