一匹狼と野良猫。



「え........」

「辛い顔、見たくなかったし
見せたくなかった。」



彼は前を向いたままで表情が読み取れない。



「まぁ、ゆいが寝てる時も結構しんどかったけど
君が目覚めて泣いてたって玲花から聞いて、

そんな姿見ようもんなら、

あの男殺しに行ってたと思う。」



彼の表情が見えない分、言葉の重みを感じる。

周りの会話や音が凄く遠く聞こえる。



「だっせーよな。

もうガキじゃねえんだから身体で動いちゃ
ダメだって分かってるけど、

ゆいの事になるとコントロールすんの難しい。」

「.......こぅ」

「お前が何言ってんだって感じだけど、

君はよく耐えたなって思うよ、本当に。」



彼はそう言って、下を向く。