一匹狼と野良猫。



しゅん、と一気に気が沈む。



「ほい」



こちらに手を差し伸べる滉牙さん。

また初めて会った時を思い出す。


そっと手を乗せると、

満足気に笑う彼とゆっくり歩き出す。



「部屋から1人で歩けたの?」

「はい、ここまで来れました。」

「凄いね、じゃあ退院ももうすぐだ」



2人で歩く空間は、繋ぐ手は、

とても温かい。



ゆっくり、ゆっくり、階段を降りる。



「辛くない?」



彼は数段先に降りて、手を支えてくれる。