一匹狼と野良猫。



「......真っ暗な世界に居て、
彷徨いながら歩いていたんです。

それで目の前に扉を見つけて、
不思議と扉を開けようと思わなくて、

そしたら、クマのぬいぐるみが後ろに
突然現れたんです。」



自分の見た夢を説明するが、

自分でも何が言いたいのか分からず、

完全に不審な人に見えるだろうか。

けれど、医師は優しく微笑んだまま

ウンウンと頷いてくれる。



「そのクマを抱き上げたら、

おかえり。

って声がしたんです。
大切な人の声が。」

「そして、目が覚めたんだね。」



そう呟く医師の言葉に頷く。