一匹狼と野良猫。



カートを押しながら歩く彼がとても新鮮で

そんな姿を後ろから見つめていた。

こちらに気づいた彼はクスッと笑う。



「なんで後ろ?横おいで」



そう言ってそっと手を引かれる。

横をあるくのもなんだか緊張して

自分の足元ばかり見てしまう。



すると突然、後ろから片手で抱き締められる。

目の前には走り去る子供達。

遠くの方で子供達を叱る様な声が響いた。



「あっぶねー、ぶつかるとこだった。

母親も大変だな。」



すぐ頭の上から滉牙さんの声がする。

背中とくっついた彼の温もりが伝わり

頬が熱いのを感じた。