「.........あの、聞いてる?」



何も答えないままで少し困った様に

こちらを覗く男の人。



「.....とりあえず、場所変えよう。

立てる?」



こちらへと手を差し伸べてくれる男の人。



..........?



どうしていいのか分からず、手を見つめていると



「手、掴んでいいよ。

立って?」



そっと濡れた手を男の人の手に置く。

そしてゆっくり引き上げ立たせてくれた。



「ほい。

んじゃあ、ついておいで」



そう言って彼は傘に入れてくれたまま

歩きだそうとした時、



「おわ!?
裸足じゃん!!

ちと、乗って!!」



男の人は前にしゃがみ込み、手招きした。