それは今から数ヶ月前にまで遡る。期待と不安を胸に抱えながら、紺のセーラー服に身を包んで迎えた入学式。式辞や祝辞を聞きながらやっと手に入れる事ができるかもしれない、平穏な日常を期待しながら私はまっすぐ前を見据えていた。式が終わり、自分の教室に戻って色々な説明を聞いた。そのうち終業時間が来て、担任は挨拶をして教室を出ていった。私は帰り支度を済ませ、同じクラスになれた幼馴染の高山雪(たかやまゆき)の机に向かった。雪は本来は黒髪のストレートボブなのだが、髪の量が少し多い為いつも結っている。切りそろえられた前髪に、眼鏡の奥にある目は綺麗な二重。私より少し背は小さいが十分可愛い。
「雪、同じクラスになれてよかったね。」
「うん。」
にっこり微笑んでそう言う。すると教室の扉が開いて、金髪の髪をポニーテールにした女の子が入ってきた。