「もういるよ。驛さんだよ」

「あっ……ありがとう」

「結婚についても、前より少しずつ考え方も変わり始めているし、この先のことは、驛さんとじっくり話し合っていけたらいいな」

 ……って、遠回しにプロポーズを持ち掛けているような言い方で慌てようとすると、運転席の驛さんは酷く優しい目をしていて、俺は何も言わずに前を向いた。

 このあったかくて、優しい時間が、たまらなく幸せだ。

 俺は驛さんが好きで、驛さんも俺のことが好きでいてくれて、この関係を大事にしていきたい。

 俺、少しずつ変われてる。ずっと立ち止まったままだった一歩を、今はゆっくりでも踏み出せてると思うんだ。