ガチャッ

「おかあさんっ!おかえり!」

「...」

「...おかあさん?」

母は俯いたまま一言も喋らなかった

ここからだ。

私の人生の歯車が壊れたのは。

「あんたさえ...」

「どうしたの?おかあさ...「あんたされいなければ!!」」

「あんたさえ居なければ私は幸せだった!」

その時の母の表情が今でも脳裏にこびりついて離れない

焦点の合っていない目

でも私の心を抉るような視線を送っている

それだけで私の心は簡単に傷ついた

「っ...」

「出ていって!」

「おかあさんっ晴なんか悪いことし…」

「出ていきなさい!」

「あんたと居ると不幸がうつるわっ」

「あんたさえ居なければ全て上手くいったのにっ」

「あんたなんか生まれて来なければよかったのよっ」

その時私の中で何かが崩れ落ちる音がした

「ごめんなさい。」

私は勢いに任せて家を飛び出した

私はどの道を選択すれば良かったんだろうか

もう少し母と話すべきだった?

泣いて縋るべきだった?

謝ったら許してくれたのだろうか。


「おかあさん...」




あぁ、私に選ぶ道なんてなかったのかな。



そう思った瞬間私の世界には色が無くなっていた