【美衣side】

お母さんから借りた黒いバッグを抱えて、『新倉家』と書かれたお通夜の会場へ向かう。



幸いにも、うちのおじいちゃんとおばあちゃんはまだ元気で、お通夜とかお葬式に参列するのは、あの日以来だ。



私は黒い喪服を着た人たちに続いて、セレモニーホールに入る。



会場の前には、喪服を着たお父さんの隣に、制服を着た誠也が立っていた。



誠也は私に気づいて、力のない目を私に向けた。



なんて言ったらいいのかわからなくて、私は周りの大人たちと同じように無言で一礼した。