「まだホワイトタイガー見てないじゃん」



「俺は子どもの時に見たからいい」



「やだ。私、まだ見てないし。
お兄ちゃんと一緒に見たいの!」



「お前、本当わがままだな……」



お兄ちゃんは苦笑いして、私の手を引っ張って歩いていく。



「だって、前来た時、お兄ちゃんと一緒に見れなかったし」



「しょうがねぇな。美衣と一緒に見てやるか……」



仕方なさそうに振り返ったお兄ちゃんは、優しい笑顔をしていた。



ずっと、お兄ちゃんと手をつないで歩いていたい。



私はまだ幼かったあの日を思い出しながら、お兄ちゃんの手をギュッと握った。