「おい、美衣」



後ろから低く呼ぶ声に振り返る。



「お兄ちゃん……」



私の後ろには、お兄ちゃんが立っていた。



「普通、初めてのデートでケンカするか?」



「だから、ケンカじゃないってば……」



口を尖らせた私を見て、お兄ちゃんは笑った。



自然なお兄ちゃんの笑顔を見るのは久しぶりだ。



お兄ちゃんとキスをしてから、すっかり気まずくなってしまった。