兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

「……で、お兄ちゃんはちゃんと探しに来てくれたんだけど……

後で、お父さんとお母さんにめっちゃ怒られてた。

『なんで、美衣を置いて行ったんだ?』って……」



動物園の中を歩いていたら、昔のことを思い出して、誠也に話してしまった。



今、私が手をつないでいるのは、お兄ちゃんじゃなくて、誠也だ。



「美衣って、お兄さんと仲いいんだね。
俺、兄弟いないからうらやましいな」



「今は、そんな仲よくないよ……」



確かに、お兄ちゃんと私は仲がいい兄妹だった。



いつも困った時には、お兄ちゃんが助けにきてくれた。



だけど、お兄ちゃんにキスされた日から、私たちはほとんど口をきいていない。



私はお兄ちゃんとどうやって話したらいいのか、わからなくなってしまった。