「お茶で大丈夫です……」



姿勢を正して座っている男と目が合った。



「お兄さん、はじめまして。
美衣さんと同じクラスの新倉です」



こいつが、美衣に告白してきた男か……



新倉と名乗る男は、わざわざ立ち上がって俺に頭を下げた。



学年トップと聞かなくても、育ちのよさがわかるようなたたずまいだった。



「美衣の兄です……」



言わなくてもわかるだろうが、俺は低くつぶやいた。



「お父さんは今日も仕事で遅くなるから、もうご飯にしましょ。

お兄ちゃんも、早く着替えてらっしゃい」




「いや、このままでいい……」



俺は制服を着たまま、新倉の向かいに座った。