兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

「それでは、ブーケトスを……」



階段の下には、独身の女友達が集まっている。



ブーケトス用の花束を握って見下ろすと、親友の絵梨花が私に手を振って一生懸命アピールしていた。



絵梨花はマー君と今でもラブラブだし、そんなに焦らなくていいと思うけど……



彼女の必死の形相に、思わず笑ってしまった。



階段に背を向けて立つ私の背中を、お兄ちゃんが隣で支えてくれていた。



「お兄ちゃん、いくよ」



「だから……もうお前の兄ちゃんじゃないだろ」



「そうだった……ごめんね、要」



要の顔を見ても、私のお兄ちゃんにしか見えないし……



まだ『要』より『お兄ちゃん』のほうが、しっくりくる感じがする。



私は要に照れ笑いして、花束を高く放り投げた。







《完》