兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

四年後……



お兄ちゃんは大学を卒業して、地元の企業に就職した。



お兄ちゃんが東京から戻って来る日、私は駅の改札の前で待っていた。



「お兄ちゃん……」



四年間東京で過ごしたお兄ちゃんは、なんとなく都会の人ぽくなって、すっかり大人な感じになっていた。


「美衣、ただいま……」



「おかえりなさい、お兄ちゃん」



「もう俺は、お前の兄貴じゃないだろ」



私たちは正式に婚約して、挙式の日程も決まっている。



左手の薬指には、お兄ちゃんからもらった指輪が輝いていた。



「そうだね……
でも、今日はお兄ちゃんって呼んでみたかった」



「なんだよ、それ……」



久しぶりの再会に、お兄ちゃんと目を合わせると照れてしまう。



うつむいてそう言った私を見て、お兄ちゃんは笑った。