兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

今まで、何度お兄ちゃんとこの道を歩いただろう。



幼い頃一緒に遊んだ川べりの道を、お兄ちゃんについていく。



川に沿って植えられた並木には、桜が綺麗に咲いていた。



お兄ちゃんは、私の前を歩いている。



私は3歳の時からずっと、この背中を追いかけてきた。



家族を失った私に、お兄ちゃんは家族の温もりを教えてくれた。



この13年間、ずっとお兄ちゃんと一緒だった。



お兄ちゃんはもうすぐ、遠く離れた場所へ行ってしまう。



私はお兄ちゃんの背中を目に焼きつけようと、お兄ちゃんに気づかれないように、お兄ちゃんの後ろ姿を見ていた。