「お兄ちゃん、お父さんとお母さん二人で出かけるから……

これで、お兄ちゃんとおいしいもの食べてこいって」



ドアを開けてくれたお兄ちゃんに、私は一万円札を見せた。



「一万って……母さん、太っ腹だな。
そんなに食えねぇだろ」



そう言って笑ったお兄ちゃんに、私はお札を渡した。



「せっかくだし、昼飯のついでにちょっと出るか?」



「うん」



お兄ちゃんと二人で出かけるのは久しぶりだ。



嬉しいような、恥ずかしいような……



私は伏し目がちに微笑んでうなずいた。