【要side】

あの日、母さんは泣いていた。



美衣と要のことを、本当の兄妹として育ててきたのに、どうしてこうなったのかと……



俺は、母親に何も答えられなかった。



俺はもう、あいつの兄ではいられない。



俺は、この家を出ようと思った。



学校の自習室前のベンチに座って、俺は休憩していた。



「要、今日も来てたんだ……
最近頑張ってるね」



俺の前には、制服を着た涼子が立っていた。