兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

『サンタさんへ』と書かれた封筒を拾い上げる。



俺の家では、幼い頃クリスマス前にほしいものをサンタさん宛ての手紙に書いていた。



今思えば、それを読んだ両親がほしいものをプレゼントとして買ってきて、イブに枕元に置いてくれていたのだと思うが……



子どもの頃は本当にサンタさんが読んでくれるのだと信じて、一生懸命ほしいものを手紙に書いていた。



これは、美衣が書いたものだろうか。



幼い子どもの文字ではなく、今の美衣が書いたようなしっかりした文字だった。



俺は、『サンタさんへ』と書かれた封筒の中から手紙を取り出す。



雪の結晶が描かれた手紙を開くと、そこには『お兄ちゃん』と書かれていた。