兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

子どもの頃、私と要は同じ部屋を使っていた。



私はシチューもハンバーグも一口も食べずに、要と私の部屋に戻って泣いていた。



パパとママがいなくなって寂しかった。



パパとママと三人で、ママが作った料理を食べたかった。



3歳の私は部屋の片隅で、膝を抱えて泣いていた。



『いつまで泣いてんだよ……』



それまで一人っ子だった私は、2歳年上のぶっきらぼうな要のことが少し怖かった。



要も、突然自分の家にやってきた血のつながらない妹を迷惑な存在だと思ってたのかもしれない。



その日まで、要はあまり私に関わろとしていなかった。



だけど、今日の要は違っていた。



『さっきは……悪かった。
ごめん』



自分が妹を泣かせてしまったと思ったのか、まだみんな夕飯を食べているのに、私の様子を見に部屋に戻ってきてくれた。