兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》

要のお父さんとお母さんは、私に優しくしてくれたけど、要の家がまだ自分の家には思えなかった。



早くパパとママがいる自分の家に帰りたいと思っていた。



要のお母さんは、私のためにハンバーグとかオムライスとか子どもが好きそうなものをいろいろ作ってくれていた。



だけど、私は要のお母さんの料理をあまり食べなかった。



要のお母さんの料理がマズかった訳じゃない。



私は、自分のママが作った料理を食べたかった。



その日の夕食は、シチューとハンバーグだった。



『みいちゃん、今日はハンバーグよ。
おいしそうでしょ』



お母さんは、ハンバーグにケチャップでニコニコ顔を書いてくれた。



私はテーブルに置かれたフォークは握らずに、ハンバーグに描かれた顔を眺めていた。