「もう少しかかるから……
誠也、ちょっと待ってて」



「わかった。慌てなくていいよ」



後ろを振り返れなくて表情はわからなかったけど、誠也は優しい声でそう言った。



シチューが出来上がった時、誠也はリビングのソファーに座っていた。



「もうルーも入れといたから。
お父さん帰ってきたら、温めて食べて」



いつもならゆっくりしていくけど、お兄ちゃんとのことをこれ以上聞かれたくなくて、私はそのまま家に帰ろうとした。