お兄ちゃんは私のほうを向いていて、誠也には気づいてなかった。



私とお兄ちゃんは、東京にしかないようなお店や、明らかに東京土産だとわかるお菓子の紙袋を持っていた。



誠也は、私たちに声をかけずに通り過ぎていった。



「美衣、どうした?」



「なんでもない……お兄ちゃん、早く帰ろう」



私は、お兄ちゃんを追い抜いて歩き出した。