なんで、嫌なことを思い出すんだろう…と思いながら、僕は真琴の家に遊びに来ていた。
今日は休日で、真琴と遊ぶ約束をしていた。
「はーい…あ、優弥!」
ドアを開けた真琴は、僕を見ると「家に上がってよ!」と、言った。
僕は、「失礼します…」と真琴の家に上がりながら、言う。
「…久しぶりに遊びに来た」
「最後に遊んだの、夏休みだっけ?」
「そうだね」と僕は言いながら、荷物を床に置く。
「…何して遊ぶ?」
僕は、笑顔で真琴に問いかける。真琴は、少し悩んだ後「適当に話そう」と言った。
「適当って…あ、そうだ。僕の過去を話そうか?」
僕は、そう言った。誰かに聞いてもらいたい、そんな気持ちが強かったのだ。
「…いいよ。聞きたい」
「……僕は――」
僕の過去を、真琴に全て話した。真琴は、僕の話を止めることなく、うなずきながら聞いてくれている。正直、それが嬉しかった。
話し終わると、僕の気持ちは、少し軽くなっていた。
「類は友を呼ぶって、本当なんだな…」
真琴が、僕に向かって微笑んだ。その笑顔は、切なそうで。
「…どういうこと?」
「俺もね、いじめられてたんだよ。辛かった…」
真琴の表情が消えた。少し顔を下げ、どんな顔をしているか分からない。
「…俺、自分の居場所が分からなかった時期があったんだ。でも、見つけられた…それに、優弥の気持ちも分かる」
真琴が顔を上げ、僕に向かって泣きながら微笑んだ。
「そっか…」
僕の身近に、僕と同じく辛い思いをしてきた人がいる。
僕の身近に、僕のことを分かってくれる人がいる。
僕の身近に、相談出来る人がいる。
僕の身近に…信頼出来る人がいる。
その事がとても嬉しくなった。僕の暗かった心に小さな光が差したような気がした。



