暗闇に光が差す日




僕は、真琴にとある話をした。

「僕の家に飼い猫のシオンがいるんだけど」

「猫を飼ってるって言ってたね」

「晴樹から聞いたんだ。シオンの名前の由来を…」

僕は、真琴に向かって微笑んだ。

「シオンは、紫苑って言う花の名前から来たらしいんだ」

「紫苑…?聞いたことある」

「紫苑の花言葉は――『君を忘れない』。例え、家族がバラバラになっても、私は一生君達を忘れません。だから、あなたも私を忘れないで。そんな意味が込められているらしい」

「紫苑…良い名前だね」

隣で、真琴が呟いた。

「晴樹がそう言った時、僕は思わず固まったよ。そんな意味が込められていたなんて知らなかったから。そもそも、興味なかったし…」

「なるほど…話、変わるんだけどさ」

「ん?」

「優弥はさ。どうして、他の人の名前を呼び捨てにするのに、そのいじめっ子だけは…くん付けなの?」

「…1回、呼び捨てにしたことがあるんだよ。その日の給食の準備中、急にその子に足を引っ掛けられて、僕は転んで保健室に行ったことがある。たまたま近くにいた女子が『優弥くんに何やってるの!』って言ったから、幸斗くんがやったんだな…って思った」

僕は、空を見上げた。あの時の記憶が鮮明に思い出される。

「それからは、くん付けになった…あ、他にも学級遊びでドッジボールをしてて、僕の頬にボールを当てられたこともあったな……」

僕は、笑って言葉を続けた。

「僕、真琴に会えて良かった。ありがとう、僕に光をくれて」

「俺も優弥に会えて良かった。ありがとう」

僕と真琴は、とても眩しい笑顔を浮かべた。

僕の心には、たくさん光が差していた――そう思っていた。あの日が来るまでは。