クリスマスの夜に


 そこに触れれば彼女は、まやみのと同じようにもう僕の前から姿を消し去ってしまう。そんな恐怖感が、僕を襲う。

「意気地なし。私に想いをぶつければいいんじゃない」
 呟くように彼女はちょっと怒ったように言う。

「意気地なしか。そうかもしれないな俺は」
「そうよ意気地なしよ。まやみさんへの想いってそんなもんだったの?」
「そこまで言うのなから、君はまやみの事を知っているとでもいうのか?」

 す―っと風力発電の風車の羽が動きを止めた。

「知っているとしたら? あなたはどうするの? 私からまやみさんの消息を問いただすの?」
「できることなら……」
「そう、でもあなたはリスクがあることも、もう知っている」
「ああ、多分な」