当時、某大学病院の外科医局に属していた俺に届いた、警察からの無常ともいえる通知。五年の経過による妹の身元捜査の打ち切りの通知だった。

 毎日オペと症例の論文の作成に、時間の合間を縫っては妹の消息を追っていた日々。
 その日々に、終止符を打ち突かれたのだ。

 それはもうすでに妹は、この世に存在しないということを意味していた。
 受けいることの出来ない俺はそれでも、一人で妹の消息を探し回った。正直、絶望感しかなかった。
 もう限界だった。

 身も心も、ズタズタと切り裂かれているような。

 まるで自分で自分の体にメスを入れているような、耐えようもない苦痛が日々俺を襲う。

 そんな年の十二月の二十四日。俺は不思議な体験をする。