俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

「リーさんを信じて待ちましょう!」

小町が俺の分のお茶を入れて微笑んだ。俺は礼を言って、カップを受け取る。リリーのような温もりが、俺の心を落ち着かせていく。

「こんな時こそ、楽しいお話をしましょう!舞台のお仕事を一緒にする仲間に、とてもおもしろいハプニングがありましてよ〜」

フローレンスの言葉にアレックスが目を輝かせる。

「えっ?何々?」

みんな椅子やソファに座り始めた。俺もイワンに椅子を勧められ、座る。

「その子、まだ舞台に立つようになったばかりの新人でしたわ。でも美しい歌声に、誰もが魅了されましたの。そんな彼女はある舞台のプリマドンナを任されましたわ」

フローレンスが楽しそうに語る。フローレンスが面白おかしい話をするのは珍しい。フローレンスが話すことといえば、おしゃれに関することや、料理やお菓子の話などが多いからだ。

きっと、フローレンスなりにこの場を明るくしようとしているのだろう。アレックスの元気がないことに驚いたのかもしれない。

俺はフローレンスの話に耳を傾けた。

時間は、ゆっくりと進んでいく。

「本番前、その子に嫉妬した人たちがその子の着る衣装の中に蜘蛛を隠しましたの。その子は何も知らずにそれを着て舞台に立ちましたわ〜」

「それでどうなったんですか?」

ジャックが訊ねる。フローレンスは思い出したのか、笑いながら言った。

「本番中に、彼女は蜘蛛がいることに気づきましたわ。でも犯人が誰かすぐにわかったそうです。彼女は蜘蛛を目の前で歌っていた犯人の頭の上に乗せて歌いましたのよ。『こんな攻撃は私には効かぬ。勝ちたければ努力しろ!このクソったれが〜』と」