俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

俺の隣でリリーが呟いた。

「少しずつ、近づいている。俺はそう信じているぞ」

俺はリリーに言った。

「うん」

そう言い笑ったリリーの顔に、憂いが見えるのは何故だろう?

事件が起こったのは、その時だった。

一瞬にして視界が真っ暗になる。停電したのだと気づくには、少し時間がかかった。

「何が起こったの?」

「停電?」

人のざわめきと、外の雪の音で、聴覚すら頼りにならない。

ぎゅっと誰かが俺の腕を掴んだ。驚いて声が出そうになったが、掴み方でリリーだと気づく。俺はリリーの手を包んだ。

「リーバス……」

不安げな声が聞こえる。俺は強くリリーの手を握った。

「大丈夫だ。俺はここにいる」

どれほど停電していたのだろうか。急に視界に光が戻り、俺はその眩しさに目を細める。

視界が光に慣れてきた時、ジャックが叫んだ。

「絵がなくなっています!!」

犯罪発生という言葉が俺の頭の中に芽生える。俺とリリーは顔を見合わせ、その場に向かった。

現場には人だかりができていた。

「警察だ!現場を見せてくれ!!」

警察手帳を持ち、人をかき分ける。

「リーバス!ここにさっきまであった『平和を願う天使』っていう絵が消えちゃったんだ!」

アレックスが何もない壁を見つめる。プレートにはたしかに作品名があるが、額縁に入れられた絵はどこにもない。

「たしか、地球を抱きしめている天使の絵でしたよね」

ジャックが記憶を辿るように頭に手を当てる。

「ゲホッ!…さっき停電した時、盗まれたんじゃ……」