俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

俺やジャックが言葉を発さないのは、まだ周りも理解するだろう。しかし、リリーがバスに乗ってから一言も話していないことには正直動揺している。

リリーは窓の外を、ぼんやりとした目で眺めている。その目にはいつもの元気さはない。ますます心配だ。……何かあったのだろうか？

不安に駆られ、俺はリリーに話しかけた。

「リリー」

リリーはすぐに俺の方を向いた。驚いた顔をしている。

「……元気がないようだが、大丈夫か？しんどいようならいつでも言え」

俺がそう言うと、リリーは「ありがとう」と優しく微笑む。

元気いっぱいの無邪気なリリーの笑顔はひまわりのようできれいだが、優しい笑顔も月に照らされた儚い月下美人のようで美しい。

心配なはずなのに、その表情一つ一つに見とれてしまう。

四十分ほどバスに揺られ、俺たちは会議場へ到着した。

温かいバスから降りると、一瞬にして体が芯まで凍りついてしまいそうな寒さが体を包む。

「寒い〜！！」

アレックスが背後で大声で叫ぶ。俺は後ろを振り向き、アレックスの頭を叩いた。

「アレックス！耳元で叫ぶのはやめろ！！耳がおかしくなる！」

「ええ〜！！」

おどけるアレックスを見て、小町とフローレンスがクスクス笑い、リーが大声で笑う。ジャックは微笑み、俺も思わず笑ってしまった。