俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

「ロール国の国王とお妃、お菓子の取り合いで大げんかして、別居するかしないか話してるとこらしいぜ」

「……」

俺の頭の中では、今まで自分が体験した事件が次々と浮かんでいた。会議場に爆破予告が送りつけられたとか、謎の伝染病がロール国で流行っているとか、そういう暗いことを想像していた俺は、あまりにくだらなさすぎるレムの噂に、呆れて固まってしまった。

しかし、我に返った俺は、すぐにレムの背後に回り込み、腕を回して首を絞めた。

「おい!くだらなさすぎる!!お前が緊張しているから、もっと重大なことだと思ったんだぞ!!真面目に聞いた俺が馬鹿だった!!」

「ぐ、ぐえええええええ」

レムは潰されたカエルのような声を出す。それがおかしくて、俺はつい笑ってしまった。

「リーバスが笑ってる!珍し…」

腕を放した後、笑い続ける俺を、レムが不思議そうに見ていた。



そんな会話から数日後、俺はロール国へとリリーたちとともにやって来た。

右を見ても雪景色。左を見ても雪景色。ロール国は一面が真っ白に染まっている。

「うう〜…!寒いね〜!」

リリーが首に巻いたマフラーを握る。

俺たちの国では雪など降っていないのだが、ロール国はマイナス二十度だ。

「私の国でも雪は降りますがこれほどでは……」

いつも着物を着ている小町も、今回は分厚いコートとマフラーと珍しく洋服を着ている。