レムがそう言い、走っていく。

俺は男性とともに、現場へと急いだ。

男性はそこそこ身なりがよく、着ているスーツや身につけている腕時計もかなり高価なものだ。しかし貴族ではなさそうだ。

「お仕事は何をされているんですか?」

「ピアニストをしています。最近では貴族のパーティーで演奏させてもらったりしているんですよ。だから貴族じゃないのにこんな格好ができるんです」

「なるほど。盗まれたものは?」

「貴金属数点と、現金およそ三十万円、そして楽譜が盗まれたんです」

そう話しているうちに、男性の家に着いた。中流階級とは言い難い大きくて立派な白い家だ。この男性は、中流階級と上流階級の中間にいるのだろう。

さて、仕事を始めよう。

俺は家の扉を開けた。



「はあ〜…。疲れた〜」

窃盗の現場は、誰が見ても泥棒が入ったとわかるほど荒らされていた。

レムが窃盗担当の刑事たちを呼んだため、俺とレムは現場を後にしたのだが、すぐに痴漢の現場や誘拐の現場に遭遇し、抵抗する犯人を逮捕したり、被害者に事情を訊くなど慌ただしい一日だった。

日が暮れ、真っ暗に辺りがなった頃、ようやく交番に戻ることができたのだ。交番に入ると、レムがすぐに大きなため息をついた。