「おお〜?リーバス、ひょっとしてあのタンバリー国のお嬢様のこと考えてる?」

レムが俺の顔を覗き込む。図星だった俺は、とっさに顔をレムから背けた。なぜこいつはこんなことに鋭いんだ…。

「えっ?当たり?リーバス恋わずらいしてるのか〜!かっわいい〜!」

「黙れ!!次に言ったら殴るぞ!!」

ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべるレムを、俺は思い切り睨みつける。

無駄なお喋りはここまで。仕事に集中する。

ドリス国の街を歩く。今日はいつもより暖かい。道を歩く人も、いつもより軽装だ。

しかし、こんな日こそ気を引きしめなければならない。暖かく外出をする機会が増えれば、空き巣などの被害も増えるからだ。

そう思った矢先に、「すみません!」と言いながら男性が真っ青な顔で俺たちの前に走ってきた。

「どうしましたか?」

レムが訊ねると、男性は真っ青な顔のまま、「ちょっと出かけていた間に、家に泥棒が入ったみたいなんです……」と言った。

俺とレムの目が鋭くなる。

「ご自宅はどちらに?」

俺が訊ねると、男性は住所を告げた。ここからそう遠くはない住宅街だ。

「リーバス、俺は応援を呼んでくるから、お前は先に現場に行っててくれ」