「……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……」

その人物の胸は、今にも張り裂けてしまいそうだった。悲しみと苦しみ、空しさが心を攻撃していく。

どれほど泣き続けたのか、正確な時間はわからない。ただ、その人物は長い時間を泣いて過ごした。

ハーブティーを持ったメイドがそっと近づき、その人物を優しく抱きしめる。

「大丈夫です。自分を責める必要は、どこにもないのです」

その人物は、抱きしめられた瞬間に、さらに激しく泣き出した。声を上げ、メイドにしがみ付き、赤子のように泣き続けている。

「幸せを願うのならば、傷つかなければならない時もあります。しかし、それを乗り越えて人は強くなっていくのです」

その人物はメイドの服を掴み、言った。

「お願い…!!世界を平和に導けても、あの場所で…あの人のそばにいたい…!あんな場所に帰るのは嫌!自由に、なりたい……!!」

メイドの表情が、憂いを帯びる。しかし、それを悟られないように、メイドはその人物を抱きしめ続けた。