怒鳴るだけ怒鳴って、国王たちは部屋を出て行った。

私は体の震えが止まらず、呼吸だけが早くなっていった。初めて過呼吸を起こしたのだ。

目の前が真っ暗になった時は死んだのかと思った。でも違った。気を失っていただけだとわかったのは、ベッドにいつのまにか寝かされていたから。寝かせてくれた人は、傍にはいなかった。

それから、私の部屋は隠し通路のない部屋に移され、私は部屋から出る時は監視されるようになってしまった。結果、リリーに会えなくなってしまった。

年月が過ぎていき、私は二十二歳になった。同じ頃、私の兄である六人が戦死したと城に手紙が届き、国王が真っ青な顔をしながら私の部屋に飛び込んできた。

「お前は私たち王家のために、遠い国へ嫁ぐのだ!」

結婚をさせられることはもう決まっていた。影の王女として生まれ育ってきたのだから、こうなるのは必然。しかし、それを拒絶する自分がいた。

私は、自由になることを諦めてはいなかった。こっそり独学で外国語を学び、歴史も学んだ。歴史を勉強した時に、世界が何故平和にならないのか仮説を立てる。それは、世界を平和にさせたくない人がいて邪魔しているというもの。

本当の自分になれるチャンスだと思った。私は、ルーファス様と仲良くなったメイドのライナにこの話をし、世界平和対策本部を作りたいと懇願した。