ラス国でのパーティーは、リリーにとって辛いものになっているようだ。

思い返せば、リリーの開催する自由すぎるパーティーには、常に民間人がいた。「貴族だけ」という固定は一切ない。

誰とでも関わるという考えでパーティーをしているリリーからすれば、あのパーティーは辛いものでしかなかっただろう。そう思うと、胸が締め付けられる。

ベルベット卿からの手紙が届いた時、リリーには気にするなと言った。しかし、リリーは真っ青な顔で震えていた。

あの時から、リリーの時間は止まったかのようだ。どうすればリリーに元気になってもらえるのだろうか?

その時、心配そうな顔をした小町が、リリーにそっと近づいて行った。

「リリーさん、お時間少しよろしいでしょうか?」

「……何?」

小町は優しげに微笑む。リリーも笑おうとしているのだろうが、上手く笑えていない。むしろホラー映画に登場するゴーストのようだ。

「あの…よろしければ、桜花国に遊びに来ませんか?桜花国は暖かいですし、過ごしやすいと思います。それに、もうすぐお祭りが開催されるんです」