俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

凛とした表情でクリスタル王女様……いや、クリスタルは俺を見つめる。

「わかりまし……わかった」

俺もクリスタルの真正面に座り、クリスタルが話し始めるのを待つ。

クリスタルはしばらく話すのを迷っているような素振りを見せたが、やがてゆっくりと口を開いた。

「リーバス、私はあなたに謝らないといけないことがあるの」

「謝る？何故だ？」

予想外の言葉に戸惑う俺に、クリスタルは深く頭を下げ、「ごめんなさい」と呟く。

「大切な資料が盗まれた事件があったでしょ？あの資料を盗むように言ったのは、私なの。黒幕の情報を得るために必要だったから…。私だって窃盗犯だよ」

スパイのような少年に資料を盗まれたことは、今でも俺の中で屈辱的な思い出として残っている。犯人を動かしたのは、目の前にいるクリスタルだ。しかしーーー。

「何故、お前が謝る必要がある？クリスタルは世界を平和に導いてくれた。誰も責めたりはしない」

犯人をもう一度見つけたら逮捕するつもりでいた。しかし、今は心が穏やかでクリスタルに微笑むこともできる。

「でも！資料が盗まれてリーバスは馬鹿にされて……」

涙を目に浮かべるクリスタルに、俺は「もう過ぎたことだ」と笑う。「ありがとう」とクリスタルは呟いた。