俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」

リーがそう言うと、メイドはドアを開け、「それでしたら安心です。どうぞ」と言った。

「お邪魔します!」

屋敷の廊下には、様々な種類の花が飾られている。そして、それほど高価なものは置かれていない。庶民の家とあまり大差がない。

俺たちは広間へと案内された。広間も一般市民の家より広いというだけで、ベルベット卿のように豪華な調度品は置かれていない。おしゃれだが、高価ではないソファやテーブルが置かれている。

そのことが、まるで我が家に帰ってきたかのような安心感を覚えた。

「お嬢様はラス国からお戻りになられた後、食事も全くお召し上がりにならず、いつも泣いて落ち込んでいらっしゃるのです。私ではもうどうにもなりません。なので、皆さまにお任せいたします」

メイドはそう言い、キッチンの場所などを教え、居間を出て行った。

リリーの家での様子を聞き、俺は一気に心配になった。早くリリーのあの笑顔が見たいと思った。

リリーが笑わなくなってそれほど時間は経っていないのだが、まるで何百年もの間、笑顔を見ていないかのような気分になる。